日本産フルーツ、NYでの反応は?

NYで日本産フルーツを販売

さて、省庁からの依頼でNYのスーパーでとある日本産フルーツのテストマーケティングを行ってきました。

フルーツの輸出はハードルが高い

正直なところ、生鮮食品は足が速いため貿易商社で扱いにくく、今まで仕事の依頼はほとんどありませんでした。

というのも、日本からNYに届くまでに数日が経過、その後店頭に並べて販売となると鮮度が保てないため、店にとってリスクが高いからです。

さらに、多くのフルーツの場合、産地がどこであろうと見た目が似通っているため、「日本産」であることが特長になりにくいという難点もあります。米国で販売されている既存のものと比べ、よほど外観において特長がない限り、味で勝負しようと思っても認知されるまでにかなりの時間がかかります。また、輸出入が不可能なフールツが多いのも注視しておきたいところです。
※輸出入の際に害虫とか病原体が入ってこないように、検疫を行う農林水産省の植物防疫所のホームページを見ると、各国との取引が可能かを確認できます。例えばブドウやモモ、レタス、トマトなどは、日本から米国への輸出が禁止されています。

魚介類のように、安定した需要がなく、販路が確保しづらい点もネックです(NYに定着し、現在多数存在する寿司店のように、フルーツパーラーが大ヒットすれば話は別ですが…)。ちなみに、魚介類に関しては大小関わらず日系の様々な貿易商社が、「築地から直接」など、さまざまなスタイルで取り扱っています。

テストマーケティングの現場とは?

さて、前書きが長くなりましたが、今回の日本産フルーツのテストマーケティングは、依頼された時点で、ゴールは特に明確にされておらず、ざっくりと「ニューヨークの消費者がどのような反応するかを、試食から引き出してほしい」といったものでした。

ただ僕としては、ただ単に米国人に食べてもらい「美味しかったよね」とか「値段が高いよね」などの感想を得るだけでは面白くないというか、クライアントの今後に繋がる仕事をしたいと思っているので、実際にNYで販売することが決まったときに、ターゲットとなる消費者にヒアリングをし、「NYで扱う商材として、ビジネス的に可能性があるか」という点をテーマに調査を進めました。

ブランドフルーツの価値を理解してもらうことが成功の鍵

まずはサンプルを配り、アンケートを取れるお店探しからスタート。
先ほども述べたとおり「NYで実際に購入してくれそうな客層」の意見を聞くのが目的です。

まず大前提として、知っておいていただきたいのが依頼があったフルーツの価格。
ブランドフルーツのため、米国で流通している同じフルーツの5、6倍の値段です。

実のところ、日本でよくある霧箱入りの超高級フルーツは、米国にはほぼ存在しません。例えオーガニックフルーツであっても1パック$10程度。要するに「このブランド化されたフルーツの価値を、米国人にどのように理解してもらうか?」が鍵になる訳です。

そこで狙ったのは、普通の人が食べないような高級食材を好んで食べる富裕層。コロナ禍でなかなか引き受けてくれるお店が見つかりませんでしたが、最終的に富裕層が多く住むアッパーイーストサイドという地域の高級スーパーでの開催が決定。

「彼らの金銭感覚がどれほどかけ離れているか」「日本の生鮮食品系に対してどんな反応が見られるのか」…。正直ちょっとワクワクしながら調査に向かいました。

いきなりぶち当たった問題点は「農薬」

実は今回の調査で、米国人の農薬に対する脊髄反射的な拒否反応をまざまざと見せつけられました。

まず試食用サンプルを差し出すと「これって農薬使っているの?」と、すぐに質問されるんです。そこで「限りなく少ないけれど、100%無農薬ではないよ」という話をすると「では食べない」と言う方もおられました。

完全に無農薬で栽培するというのは現実的ではないため、アメリカ、ヨーロッパ、日本など各国で異なる輸出入の規定を全て満たそうとすると「有機栽培」になるのですが、コストが非常に上がり、ビジネスとして成立しづらいのが現状です。

日本の農家は、味のレベルが高いというだけでなく供給面においてもばらつきの少ない一定の質のものを常に市場に出し続けるために日々研究を重ねており、その際に多少の農薬を使うケースもあるわけです。

今回の調査で得られたデータの一部をざっくりと紹介すると、味やパッケージに関しては高評価で、まさに高級品を食べたい方にマッチしたのですが、富裕層になればなるほど、自分に体について気にされる方が多く、農薬がネックになりました。この点に関して、米国人を納得させる説明なり方法を考えていくのが課題です。

農薬の量などについて調査している機関によると、基本的には「皮が厚いもの」は、安全なものが多い傾向があるとのこと。例えばアボカドやバナナやメロンなど。アボカドは主にメキシコやチリ、ペルーからの輸入が多いのですが、残留農薬が少なめとのことです。

逆に多いといわれているのが、イチゴやリンゴなど。実は、今回テストマーケティングを実施したフルーツも、市場のかなりのシェアを占めるアメリカ産のものは残留農薬が多かったため、サンプル配布時も先入観から農薬を気にされる方が多数いらっしゃったようでした。

結果的に約100名のニューヨーカーが試食し、多くのデータを入手。新たな気付きも多いリサーチになりました。

「オーガニック」の次は「トレーサビリティ」が来る?!

「オーガニック」がトレンドワードになったのも10年以上前でしょうか。さらにその数年後に登場した「ローカル(地産地消)」は既にNYでは一般消費者の間に定着しており、ここ数年はブロックチェーンを活用した「トレーサビリティ」が注目されています。

遠く異国から来たフルーツ、これがどこで作られ、どのような方法で流通し、販売されているのか、知ってから買いたい。いや、近い将来「知らずには買えない」ということになるかもしれませんね。

輸出を考える場合、進出を目指す国のトレンドをリサーチするのも大切なポイント。これからも引き続きこのnoteでニューヨークの今、そして今後の予想を発信していこうと思います。

以下、僕が出演する「ニューヨークでビジネスやってますが?」第10回の放送では、上記の内容に加え、「NYにおける日本米」についても話をしておりますので、興味のある方はぜひ聞いてみてください。

NYで日本産フルーツを販売