岩手の酒造メーカー「世嬉の一酒造」代表・佐藤航さん編・日本らしいクラフトビールで世界にサプライズ!

世嬉の一酒造

海外で挑戦するアーティストや企業担当者をRESOBOXスタッフがインタビューし、経験談やアドバイスを語っていただく「海外挑戦者インタビュー」シリーズ。今回は1918年創業の「世嬉の一酒造」(岩手県一関市)です。日本酒はもちろん地元の食材を使ったビールも醸造し、一関市の魅力を発信しています。2017年に自社製品がワールドビアアワードジャパンブロンズメダルを獲得! 歴史や商品誕生秘話を代表取締役社長の佐藤航さんに教えていただきました。

Q1・酒蔵がビール製造を始めた理由は? 
A・町おこしの一環。 日本独自のビールを目指して

弊社は1918年に日本酒メーカーとして創業しました。ビール事業を始めたのは1995年のことです。私は大学卒業後、某コンサルティング会社勤務を経て、1999年に入社。まずは、父が町おこしの一環として始めたビール事業を一人で担当することになりました。
当時の地ビールの評価と言えば「臭い、高い、不味い」というもので、私も「ビールは大手が作るもの」と反対していましたが、醸造するうちにどんどんのめり込んでいきました。そしていつしか「日本らしいビールを発信していきたい」と考えるようになりました。理由は、日本のクラフトビールはいつもアメリカのビールを真似して成長きた過去があったからです。そんな時に19世紀のイギリスやアイルランドのごく一部で醸造されていた「オイスタースタウト」を知り、これを岩手の牡蠣を使って作ろうと決心しました。
ただ、従来のように牡蠣の殻だけを使うのはでなく、実も使うことで強い旨味が出す製法に挑戦。15年前にオリジナルの「牡蠣のスタウト」を完成させました。これに続き、日本の二大香辛料である、山椒を使用した「山椒エール」も開発、販売しました。

世嬉の一酒造の「牡蠣のスタウト」と「山椒エール」
世嬉の一酒造の「牡蠣のスタウト」と「山椒エール」

Q2・これまでに醸造したビールは?
A・お客様へサプライズを届ける商品を目指し300種類以上を醸造

ビールを通して岩手の魅力を伝えていきたいというのが僕らのモットーです。そんな信念のもと、これまでに柿やトマトなどを原料に採用し、300種類以上のビールを醸造してきました。多くが変わり種で、お土産ビールだと思われることが多いのですが、飲んでいただくと「美味しい!」と驚かれます。そうやって良い意味でお客様の期待を裏切れるようにと、日々醸造しております。
現在は、季節に合わせて地元の植物を入れたクラフトジンも製造。最近の新作は梨のシードルです。また、弊社が運営しているカフェでは、先ほど紹介した山椒エールと抹茶を合わせたドリンクを「抹茶ビール」として提供しているんですよ。

カフェで提供している抹茶のビール
カフェで提供している抹茶のビール

Q3・輸出状況について教えてください
A・現在7カ国に輸出。転機はニューヨーク!

現在はアメリカ、ニュージーランド、イギリス、マレーシア、シンガポール、台湾、香港に輸出しています。海外との取引を始めた2003年当初は、ロサンゼルスのイタリアンシーフードレストランに年間で240本ほどを卸しているだけでした。しかし、2012年にニューヨークの岩手県人会に呼んでもらい、現地との繋がりができたことがきっかけとなり、多くの国々への輸出が始まりました。輸出量はその年から倍増し続け、今では年間6万本を世界各国に供給しています。ニューヨークが情報の発信源であると認識しましたね。

Q4・海外進出の良さや大変さを教えてください
A・面白みはモチベーションアップ! 情報収集には苦労

面白みは岩手から世界にサプライズを届けることができ、それが社員のモチベーションに繋がることです。世界的なビールのコンペティションでの入賞は喜ばしい出来事でしたが、日本での認知度が低く、残念ながらスタッフにはあまり響ませんでした。そこで、誰でも知っているニューヨークやロンドンに輸出することにしました。こちらは効果絶大! 自分たちのビールが現地で飲まれることは大いにモチベーションに繋がっています。
海外進出で苦労した点は、アルコールの輸出はさまざまな観点から容易ではない点です。そのため、同業者と情報交換することを大切にしています。また、当初は距離が遠いから、法律が違うから大変だと考えていましたが、それは違います。今回、RESOBOXさんと実施したオンライン工場見学もそうですが、インターネットを駆使すれば大体のことはできますし、現地で代理営業を行う企業と繋がることで距離はグッと近くなります。

RESOBOXと共同で実施したオンライン工場見学のイメージ
RESOBOXと共同で実施したオンライン工場見学のイメージ

Q5・今後の展望について教えてください
A・従業員の人生を豊かに。働くみんなが誇れる企業へ!

弊社では数値的なノルマを課しません。それは、社員の人生が豊かなものであってほしいからです。そのため、メンバーの得意なことに合わせて事業を変えたり、作ったりしています。そんな仕事の中で、企業名でなく個人として有名になっていく社員を見ると本当に嬉しくなります。また、一緒に頑張ってくれる社員の背中を押すためにも、働いていることを自慢できるような企業でありたいと思っています。その意味でも、これからもニューヨークの業者へたくさんのビールを卸し、現地の方々に飲んでいただきたいですね。

●「株式会社RESOBOX」はニューヨークを拠点に幅広い企業を対象にした海外進出支援サービスと、バラエティーに富んだ文化事業を展開しております。興味のある方はまずはメールで問い合わせください。

世嬉の一酒造