有田焼創作絵師・華仙さん編 ②「有田焼を世界に広めたい」NYでの展示開催

華仙さんの作品

有田焼創作絵師として佐賀県有田町を拠点に国内外で活躍する華仙さんのインタビュー。後編では、歌手の椎名林檎さんやフラワーアーティスト・ダニエル・オストさんとのコラボレーションや2019年に開催したNYでの作品展についてお話を伺いました。

NY・RESOBOXでの展示の様子

Q6・椎名林檎さんのアルバムジャケットに作品が採用された経緯は?
A・まさかのご縁 完成品に感動

話の発端は「私がマネージメントをしているアーティストが、こちらで購入した有田焼の作品をアルバムに使いたいと申しています」と、一人の女性が訪ねて来られたことからです。その時に作品作りのことなどを少し聞かれ、後日お電話で「椎名林檎の3rdアルバム『加爾基 精液 栗ノ花』のデザインを担当して欲しい」と依頼を受けました。
タイトル名にちなみ、栗ノ花をイメージした茶器を制作してお送りしました。完成したCDは2003年2月に発売され、ジャケットやディスクなど、至るところに自分の作品が印刷されていて感動しました。
後日談ですが、実はこのご縁は、椎名林檎さんのご親族がうちの顧客だったことからでした。思い返すと「お気に入りを娘に取られた」と、笑いながら購入に来られた方がいらして(笑)。ありがたいご縁に感謝するばかりです。

Q7・さまざまなジャンルとのコラボに挑戦されています
A・フラワーアーティストや伝統工芸品など

ベルギーの有名なフラワーアーティストで「花の彫刻家」と呼ばれているダニエル・オストさんとのコラボや、岐阜の和紙店が作られている「水うちわ」の絵を担当させて頂くなど、いろいろなご縁をいただいています。
2019年は、博多人形師の高野幸博先生とも共同で作品作りもしました。高野先生が有田焼の陶石で博多人形の原型を制作し、そこに私が絵を施しました。何度も失敗を重ねて完成させた思い入れのある作品です。かぐや姫や桜をイメージした手のひらサイズの七体を完成させました。

博多人形師の高野幸博氏とのコラボ
博多人形師の高野幸博氏とのコラボ作品

Q8・制作で大切にしていることは?
A・原点を追求 サプライズに富んだ作品も

近年の食器はシンプルでモダンなデザインが好まれる傾向にあり、有田焼のメーカーもトレンドを重視した作品作りを行うメーカーが多いです。私は原点を追求し、有田焼本来の魅力である華やかで煌びやかな作品を作り続け、海外に普及させたいという気持ちが強いです。また、基本を重視しながら「え?!これが有田焼?」というサプライズに富んだ作品を手掛けていきたいです。
2017年に「華仙」として独立してからは、窯元の職人としてではなく、一人のアーティストとしてコンテストにも出品しています。若手作家の登竜門として多くの陶芸家を輩出してきた公募展「有田国際陶磁展」では2年連続で表彰していただきました。2019年に出品した酒器は「産業陶磁器部門」で技能賞を受賞。国内外から数多くの作品が集まる中で大きな賞を頂くことができ、とても光栄でした。

Q9・2019年も精力的に活動されていました。特に印象的だった出来事は?
A・NYでの展示 継続して有田焼の魅力広げたい

昨年の一番の功績であり、刺激的だったのはアメリカに渡り、ニューヨークで展示したことです。10月25〜27日の3日間でマンハッタンにある日本文化事業を行うギャラリースペース「RESOBOX」で作品を披露。市内にあるショップやホテルのバイヤーの方々に作品の取り扱いを検討してもらったり、一般のお客さんに見てもらうなど、生の反応を知ることができました。
私が掲げる今後の目標の一つが海外での挑戦です。今年は電気窯や絵の具をニューヨークに持って行き、実演やワークショップも開催したい。海外の方が有田焼に触れ、興味を持ってもらえる活動に注力したいです。

RESOBOXでニューヨーカーに作品について説明する華仙さん

Q10・今後の展望と2020年の予定を教えてください
A・目標掲げ 常に楽しく

仕事であることを忘れるくらい楽しみながら制作活動ができたら素敵ですよね。常に目標を持ち、精進し続けたいです。 2020年はイベントが目白押しです。まずは2月19日から25日までは福岡市の岩田屋本店新館6階の「ザ ギャラリー」で「華仙展」を開催。4月29日からのゴールデンウィーク期間中は、今年117回目を迎える「有田陶器市」にも参加。皆さんに喜んでいただける面白い企画を用意しますので是非遊びにきてください。

【教えてくれた人】かせん 1979年 佐賀県有田町生まれ。1999年、「現代の名工」黄綬褒章受章者である祖父の絵師・舘林貞夫の影響を受け、祖父が築いた窯元で絵付け、濃みの指導を受ける。2017年「華仙」として独立し、「有田国際陶磁展」など、様々なコンテストで受賞。現在に至る。
華仙さんのHP 
NYでの展示の様子はこちら 

●「株式会社RESOBOX」は、日本文化と多文化が響き合い、新たな文化を創出するスペースをNY市内で展開しております。日本文化を核にした展覧会などをお考えの方はご相談ください。また、上記のような文化事業に加え、海外進出支援サービスも行っております。マーケティングリサーチやイベント出店、米国に合わせた商品開発に関する相談はもちろん、NY在住のアーティストとのコラボレーション企画などもご提案できます。興味がある方はHPをご覧ください。問い合わせはこちらのコンタクトフォームから。

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