【日本文化探訪記】300年以上続く「広島針」 チューリップ株式会社(広島県)

チューリップの針

RESOBOXスタッフが工場見学やミーティングで伺った企業の素晴らしい技術や伝統の技を紹介する本シリーズ。第2回目のテーマは「針」です。
きっかけは、NYの弊社ギャラリーで2014年から開催している「世界あみぐるみ展@NYC」。世界45カ国以上から参加するアーティストから、広島の針メーカー「チューリップ」の「編み針」を使用していると聞き、訪問致しました。
チューリップは裁縫用の「手縫針」、編み物に使う「編み針」、ビーズを編む「ビーズ針」などを製造し、国内外で販売している大手メーカーです。また、高精度な技術を用い、先端が直径0.02㍉程の通電検査用の針なども開発。商材の新たな可能性も追求されています。今回は営業本部の原田整さんと、販促企画課の国塩真弓さんに商品や針の歴史を教えて頂きました。

広島針チューリップ
広島針チューリップ

国内シェア9割の広島針

広島県が針の一大生産地ということをご存知ですか? 県内で生産された針は「広島針」と呼ばれ、手縫針、待ち針は国内シェアの9割を占めています。
歴史は古く、始まりは約300年前の江戸時代。当時藩主だった浅野家が、下級武士の手内職として普及させました。
その後、輸出業の発展とともに生産規模が拡大し、明治時代には広島県内に200社ものメーカーが存在していたそうです。しかし、第二次世界大戦の原爆投下により一気に減退。80年代には約40社になり、現在では約10社が生産を続けています。

トルコの嫁入り道具「レース針」

チューリップは1948年に株式会社原田製針所として原田穆(あつし)さんが創業されました。研究開発にも熱心な方で、丹精込めて作り上げた商品をトランクに詰め、たった一人でヨーロッパに渡り取引先を開拓するなど、行動力とアイデアに富んだ方だったそうです。
当時のメイン商品は「レース針」。発祥の地であるトルコをメインに輸出されていました。現在も続いていますが、当時トルコでのシェア率は最高で約7割だったといいます。
というのも、トルコでレース針といえば、伝統的な嫁入り道具として欠かせないアイテム。女性たちは結婚が決まると、手作りのレース作品約40品を作り、嫁ぎ先に持参するのだそうです。大切な嫁入り道具作りに日本製の針を使ってもらえるだなんて、嬉しいですよね。もちろん高品質による、使い易さあってこその結果です。
「チューリップ」が1970年に社名をトルコの国花に変更し、ブランド名として採用した理由も、トルコとの関係を大切にしているからという説が有力なのだそう。チューリップブランドのレース針は、現在も世界40カ国以上に輸出され、多くの人に愛され続けています。

工場で製造されている針(チューリップのHPより)
工場で製造されている針(チューリップのHPより)

時代のニーズを捉えた商材を開発

さて、今回伺わせていただいたミーティングルームには、チューリップが手掛ける手縫針、編み針、ビーズ針、レース針、手芸用品などが所狭しと並んでいました。商材は、どれもセンス良く、おしゃれなものばかり。90種類ある手縫針は瓶に詰め、カラフルな箱に入っていたり、編み針は持ち手に加え、金属の部分まで淡いピンク色にコーティングされていたりと、女子心をくすぐります。

営業本部の原田整さん
営業本部の原田整さん

「他社がやっていないことに挑戦し、新しいものを創り出そうという方針のもと、新商品を開発しています」と国塩さん。「長年蓄積してきた針の製造技術に磨きをかけ、時代のニーズをしっかりと捉えながら、広島から世界に誇れる商品を発信して行きたい」と原田さんは語られていました。
「世界あみぐるみ展@NYC」に出品されている世界各地のアーティストがチューリップの商品を愛用する理由は「現状に満足することなく磨き続けられている技術」「時代に対応すり新しいアイデア」「細部にまでこだわる商品への愛情」。
NYを拠点に日本を発信する弊社も、世界中のユーザーに向け丹精込めて作られた商品を一緒に広げたいと、強く感じました。

販促企画課の国塩真弓さん
販促企画課の国塩真弓さん

弊社はアメリカでニューヨークを拠とし、日本の素晴らしい文化や伝統を世界に発信したり、日本から海外進出する企業様のビジネスをサポートしたりしております。当社は、伝統の技や培われた技術をできる限り現場と近い視点から多くの方に伝えるため、工場や工房に伺わせていただき、そこで遭遇した感動や発見を、NYで扱わせていただく商材と共に現地の方に届けています。
本コーナーはこれらの経験を「日本の方々にも知って頂きたい」との思いからスタート。自国の文化や技術を見直すきっかけに、または旅の参考などにしていただけると幸いです。

チューリップのHP 

●「株式会社RESOBOX」はアメリカ・ニューヨークを拠点に、幅広い企業を対象にした海外進出支援サービスと、ギャラリーやカフェなどバラエティーに富んだ文化事業を展開しております。問い合わせなど、詳しくは日本語版のHPをご覧ください

チューリップの針