手染め製品専門店「WUHAO NEW YORK」オーナー・キッペンブロック琉璃さん編 ②研修で感動! ニューヨーカーに日本の職人技を紹介


日本の手染め製品の普及と販売を行う「WUHAO NEW YORK(ウーハオ ニューヨーク)」のオーナー・キッペンブロック琉璃さんのインタビュー。後編では、商品そのものに加え、職人の技術や思いを発信する取り組みや、その考えに至った理由について教えていただきました。

NYのイベントで手ぬぐいをPR
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Q6・実際に日本で研修もされていますね! 深く追求しようとした理由は?
A・自身の体験としてNYで発信したい

2017年ごろからアメリカの文化交流の場や学校、ショップなどに「手ぬぐいワークショップ」の講師として呼ばれる機会が増えました。しかし、実際に工場で染めた経験がない自分が人前に立つことに抵抗を感じ、長年付き合いのある巴染工の東條誠社長に相談。2018年2月、7日間、研修生として受け入れていただき、染色工程などを学ぶことになりました。さらにその翌年同月にも10日間、師事していただきました。来年も10日間の研修を予定しています。巴染工は、注染(ちゅうせん)という昔ながらの手ぬぐいの染色方法を継承し続けている数少ない会社でありながら、最新の設備も備えられています。たくさんのことを吸収し、今後もさらにNYで発信していきたいです。

RESOBOXでは手染めのワークショップも開催
手染めについて解説する琉璃さん

Q7・職人にスポットを当てた「シリーズ展」をNYで企画された理由は?
A・職人と消費者を繋ぐ架け橋になりたい

一番の理由は、ものづくりの現場に足を踏み入れたことで「職人」に感動したからです。巴染工の工場で作業をし、職人一人ひとりの姿、工場の温度、匂い、音、そして工場が持つ魂のようなものを体と心で感じました。巴染工では、職人の世代交代が終わり、若手の職人が染色の伝統を守り、次世代へ繋ごうとしています。昔ながらの方法だけではなく、新しいプリントの方法や今後の市場に向けたアイデアなどを生み出す熱い想いにも感動しました。そして「ニューヨークで彼らが日々継承している伝統が、どんなに素晴らしいことなのかを伝えたい。職人にスポットライトを当てたい」という思いに掻き立てられました。
そこで、ニューヨーク市内で日本文化を発信するギャラリー「RESOBOX」のオーナー・池澤崇さんと話をし、ものづくりに携わる「職人」に焦点を当てた展示販売会を、シリーズで開催することになりました。

RESOBOXで手ぬぐいなど手染め商品を紹介
RESOBOXで手ぬぐいなど手染め商品を紹介

第1回は2019年11月4〜26日に「日本の職人シリーズ第一弾〜創業110年の染物の老舗・巴染工〜伝承と革新」と題して実施しました。オープニングには日本から東條社長にお越しいただき、ライブで巴染工の工場と会場を繋いで職人とニューヨーカーが交流を持つ時間も作りました。

巴染工 NY展示
巴染工・社長の東條さんとNYでの展示のオープニングにて

「職人と消費者が国境を越えて繋がる素晴らしいイベントになった」とたくさんの方から称賛していただき、とても嬉しく感じました。本展で、実際に手ぬぐいや半纏などを見るニューヨーカーの姿や購入された人たちの感動を、巴染工の職人に伝えることができればと思っています。

RESOBOXでは手染めのワークショップも開催
RESOBOXでは手染めのワークショップも開催

Q8・NYのお店にオシャレな暖簾が掛かり、話題になっていますね
A・店舗の顔となる「カスタム暖簾」デザインから作成

ここ数年「カスタム暖簾」のオーダーの依頼が増えています。お店の顔になる暖簾を、デザインから携わって作成させていただけることを、大変光栄に思っています。暖簾も手ぬぐいと同様に、デザインにより染色方法を決めて、その方法にあった日本の染工場で製品として仕上げています。
これまでデザインから作らせていただいた飲食店の暖簾は、一風堂をはじめ、MASA、SUSHI SEKI、SUSHI ZO、SUSHI ISHIKAWA、STIRLING SAKE、 YOPPARAI、AZASU、JUKU、SHOJI、METHOD、UOGASH、 WASAN、SHUYAなどです。例えば一風堂には、季節に合わせて色やデザインを変えてご提案。写真の「レインボー暖簾」はプリント加工で仕上げ、「大漁旗暖簾」は熟練した引き染(刷毛にて染める方法)で染めて仕上げています。このほかに、ヨガスタジオの暖簾も作らせていただきました。
今後も、さまざまな可能性を探りながら、日本の手ぬぐいや暖簾などの普及に注力して参ります。同時に、ものを生み出す職人とそれを手にする人たちを繋げていきたいですね。

一風堂の暖簾
一風堂の暖簾

WUHAO NEW YORKのHP 
巴染工のHP 
NYで展示の英語ページ

【教えてくれた人】きっぺんぶろっく・るり 大阪府生まれ高校卒業後、中国へ留学。北京と上海で商社とアパレルに15年間従事し、2004年にアメリカへ移住。06年にニューヨークで「WUHAO NEW YORK」 を起業。

<編集後記>
岩手の工場に毎年のように足を運んで技術を取得するなど、染めものと真剣に向き合い、NYから発信されている琉璃さん。彼女の信念がニューヨーカーに伝わり、職人が美しく染めた手ぬぐいや暖簾がアメリカで広まりつつあります。今後どのように進化しながら染めものの文化が普及していくのか楽しみです!

●「株式会社RESOBOX」はニューヨークを拠点に、今回ご紹介した展示などバラエティーに富んだ文化事業と、幅広い企業を対象にした海外進出支援サービスを展開しております。問い合わせなど、詳しくはHPをご覧ください