バイオリニスト徳永慶子さん編/音楽の力で偏見や差別を無くしたい


RESOBOXスタッフが海外で活躍する日本人アーティストにインタビューを行うシリーズ企画を行っています。今回は、バイオリニストとしてニューヨークを拠点に活動し、グラミー賞を受賞するなど最高峰の実績を持つ徳永慶子さんを取材。徳永さんが2021年に設立した弦楽器アンサンブル「INTERWOVEN(インターオーブン)」に注目します。

3月、ニューヨークで多様なパフォーミングアーツグループを支援するCRS (Center for Remembering & Sharing)からコンサート開催の依頼があり、同団体のミッションに共感した弊社でINTERWOVENのコンサートを開催しました。終演後、徳永さんにINTERWOVENの活動内容や設立に対する思い、今後の展望について伺いました。

Q. INTERWOVENとはどんなグループなのでしょうか? 
また、設立したきっかけについてお聞かせください

バイオリン、チェロなどの弦楽器と、箏や二胡など、アジアの楽器を融合させた弦楽器アンサンブルです。設立のきっかけは、「アメリカにおける、アジア人への偏見や差別を無くしたい」という思いからです。アメリカでは昨今、アジア人に対する不当なクレームが増えていますが、意外にもアジア人は反論しない風潮があります。しかし、アメリカで暮らす我々が、コミュニティの一部であることが当たり前のこととして認められるためにも、平等な存在であると、はっきりと主張すべきと思い、自分にできることを考えました。

バイオリニストの私にとって一番得意な分野はやはり「音楽」。欧米の美的感覚や芸術と、アジアの文化を組み合わせた新しいジャンルの音楽を創出できたら、もっと協調性のある、ハーモニアスな世界を作れるのでは?と思い、2021年に米国で暮らすアジア系の音楽家たちを募り、INTERWOVENを発足しました。現在、バイオリン、チェロ、三味線、箏、二胡など、さまざまな楽器の演奏家約10人が所属。演奏会ごとにメンバー構成を変えながら、NYを中心に活動しています。演奏する楽曲はクラシックをはじめ、日本や中国の古典音楽など多岐にわたります。

Q. 3月11日に、弊社のスペース「RESOBOX East Village」で開催してくださったコンサートも、和洋折衷な音楽が耳に心地よく響きました。

今回の演奏会は、日本語で「編む」という意味がある「Ami」というシリーズの一環で、音楽を通じて人々の繋がりや愛情を紡いでいくことを目的としています。

演奏日はちょうど、東日本大震災があった3月11日。亡くなった方々や生き残ったご家族のために、音楽で祈りの気持ちを届けることを目指しました。演奏曲は「水」をテーマに、海や川など、水を連想させる音楽を集めました。

Q.お客さまからの反響はいかがでしたか?

INTERWOVENはまだ活動をスタートしたばかりですが、約30人のお客さまにお越しいただき、演奏者と観客が一体になって楽しむことができました。また、会場の音響も良く、距離感も理想的でした。
我々のミッションや音楽に共感してくださる方も増え、喜ばしい成果を得ることもできました。新しいファンが少しずつ増えることを期待しています。
私の既存のファンはクラシック好きが多いなど、なかなか新しいジャンルのファンを増やすことは難しいため、「どんな工夫を加えたら、楽しんでもらえるのか」「親しみを持っていただけるのか」と、試行錯誤する日々です。

Q. INTERWOVENの今後の展望や目標について教えてください

私たちの活動の内容は、主に大きく分けて2つあります。

一つはコンサート。全米のさまざまな地域に出向いて演奏をしながら、アジアの音楽を紹介していきます。直近の予定は、5月のメトロポリタン美術館での演奏会。11月ごろからはアップステート・ニューヨークやバーモント州などを巡るツアーも企画しています。

また、来年の旧正月に「ファンタジア」というイベントを、ワシントンハイツで開催することも決まりました。ワシントンハイツは、NYCの中で最もアジア人のいない地域の一つ。周辺のアジア系のレストランから食事を提供して頂き、旧正月をお祝いしながら、アジアの文化を披露し、我々のミッションを地域の方々と分かち合えたら嬉しいです。現在、3人の作曲家に「アジアの文化にインスピレーションされた音」「アジアの伝統楽器」を入れた楽曲の制作を依頼しています。

もう一つは、教育です。このプロジェクトの大きな障壁が、レパートリーの少なさです。アジアの伝統音楽と西洋音楽を融合させた曲は少ししか存在しません。
そこで大切にしているのが若手の育成です。例えば音大で学ぶ作曲家の卵の学生さん達にアジアの楽器を紹介し、西洋楽器と組み合わせることの面白さを体感してもらったり、公開レッスンなどを通して、興味を持ってもらえるように取り組んだりしています。これらの活動を拡充して今後の音楽界に影響を与えていきたいですね。
教育面での支援やドネーション、またパーティーやイベントへの出演依頼もお待ちしています。HPのこちらのページからお問い合わせください。

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●INTERWOVENへの問い合わせや出演イベントの詳細は HPをご確認ください

●英語でのイベント紹介ページはこちら

弊社は、日本文化と多文化が互いに響き合い、新しいものを生み出す場を創出しようと、NYで創業しました。日本文化を核にしたパフォーマンスをNYで披露したいとお考えの方は是非ご連絡ください。

また、上記のような文化事業に加え、海外進出支援サービスも行っております。マーケティングリサーチやイベントへの出店、米国に合わせた商品開発に関する相談はもちろん、NY在住のアーティストとのコラボレーション企画などのご提案も可能です。興味がある方はメールで気軽にご連絡ください。

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