最近、日本では伝統工芸品のデザイナーコラボレーションが主流になってきています。新進デザイナーによる新しい風を伝統工芸に入れることで、若者の支持を拡大しているようです。日本で成功しているこの手法、海外進出という観点ではどのように考えたら良いでしょうか?
伝統工芸の基準は、日常生活で使われること
大前提として、伝統工芸品は私たちの生活に深く根付いたものであるという定義があります。日本の行事などで伝統的に使われている工芸品であれば、その行事自体ない海外にそのまま持って行っても売るのが難しいでしょう。この場合は品物そのものを変えるか、どこか別の日常シーンで使う提案を行うことが必要です。しかし、これはあくまで「用途」の話であり、「デザイン」の話ではないということ、海外用に作り替えるからといって、デザインを「欧米風」にする必要性は高くないのです。
西洋的なデザインは、かえってありきたりにみられる可能
見慣れた「和」のデザインに「洋」をプラスすると、日本人にとっては新しさを感じますが、欧米人が見たら、どこかで見たように感じる可能性があります。むしろ和風なままの状態で商品化したほうが、日本文化好きの人にうけるだけでなく、斬新で珍しく、カッコよく見えることもあります。実際に風呂敷柄のバッグをテストマーケティングでアメリカ人に見せたところ、「柄はあえて洋風にするよりこのままの方が良い」「人とちょっと違ったバッグが欲しいという人に選んでもらえる。洋風にすると埋もれてしまう」という意見が散見されました。
必ずしも「新しく」ある必要はない
このように、海外進出するからといってデザインを新しく開発する必要性は高くありません。我々にとっては見慣れた、場合によっては古臭く感じられるデザインでも、外国人にとっては新しく感じられるからです。そしてデザインの新しさの追求よりも、伝統工芸品の基本に立ち返り、現地の人たちの生活に根付くかどうか、その用途にニーズがあるかで考えることが最も重要なのです。
意気込みすぎず、低コストでのスタートを
まずは今ある商品を現地の人に見てもらい、意見をもらうことが第一です。いきなりコストをかけて大がかりな商品開発をする必要はありません。意見を聞きながら、少しずつカスタマーに合わせて変えながら、最終的に伝統工芸の良さをいかしつつ現地の人が使いやすい商品を目指しましょう。
RESOBOXでは伝統工芸品のアメリカ進出サポートを多数手がけています。過去の事例はこちらをご覧ください。