【コロナ禍の海外進出 徹底分析②】アルコール消費伸びる米国市場日本の飲料・酒類の可能性は? 

米国市場飲料酒類

海外進出を目指す日本企業から寄せられた質問に、Q&A方式でお答えする本シリーズ。今回はコロナ禍の米国市場でどのような商品が売り上げを伸ばしているのかについて、飲料・酒類に絞って解説します。

Q/飲料の中で、最も注目されているのは?
A/ほぼ全ジャンルのアルコール商品

コロナ禍の米国市場では、現在アルコールの消費量が圧倒的に増えています。データ分析サービス大手「ニールセン」は、ロックダウン後の3〜5月は、前年同期比27%増とレポートにまとめて発表しています。
ジャンルは、ビールからハードリカー(ウイスキーなど蒸留酒)、ワインまで、ほぼ全てで売り上げが伸びており、アルコールを主に扱うECショップの中には売り上げが前年比400%増と、大盛況のところもあります。
中でもビールやセルツァー(炭酸入りのアルコール飲料)が好調という話をよく聞きます。米国で認知度の高いブランドや、値段が比較的安価な商品が特に売れているようです。消費者の心理としては、先行きが不透明な中で、新しいものにチャレンジするより保守的な銘柄を選んでしまうようです。

NYのビール
NYCのスーパーに並ぶビール。この店のアルコールコーナーはこの5倍程度

Q/最近「セルツァー」が人気とよく耳にしますが、どのようなものなのでしょうか?
A/フルーツフレーバー付きのヘルシーな炭酸飲料

ここ3年ほど、西海岸を中心に一気に広まったフルーツフレーバー付きの炭酸飲料です。アルコール入りの「ハードセルツァー」と共に需要が伸びています。基本的にカロリーは100kcal 以下でグルテンフリーというのが売りです。健康への意識が高い人を中心に人気が高まっています。

Q/アルコールの輸出に関する質問です。弊社では、ユズのリキュールを扱っています。日本らしさが特徴のアルコール商品は、NYで可能性はありそうでしょうか?
A/新しい商品の普及には現地のプロとタッグを組むのがベター

今回の質問を受け、3店舗のリカーショップオーナーに話を聞きました。回答は共通しており「もちろん新しいものはいつでもウェルカム。ただコロナ禍において一般のお客様は普段から見慣れたテイストのものを購入しがちです」とのことでした。
NYはトレンドの発信地として世界から注目されていますが、トレンドへの道は平坦ではありません。例えば、ゆずのリキュールをNYで広く知ってもらい、ヒットさせるならば、小売店の棚に置くだけでは難しいでしょう。必要なことは、NYCで注目されている有名なバーテンダーなど、プロの方々に気に入ってもらうことです。彼らが利用することで、認知度が高まり、普及するという流れが一番スムーズです。

Q/米国での日本酒や焼酎の販売量は? 新規参入するのは厳しいでしょうか?
A/可能性大 販売力のあるパートナーが鍵

日系の商社などにヒアリングすると、コロナ禍でアルコールが好調にも関わらず、日本酒や焼酎は売り上げが減少。現状はかなり厳しいようです。現地の酒ソムリエたちに話を聞くと「値段が高い」「もうすでに米国には何百という銘柄があり飽和状態なのでは?」など、様々な意見がありました。ただ、正直なところ傾向というものはなく、売れているかどうかは現地での販売力に尽きると断言できます。
弊社も日本食レストランを経営しているのでわかりますが、日本酒自体の知名度は、米国の中でもニューヨークでは非常に高いです。しかし、「実際に飲んだことがあるか」「どの銘柄が好きか」といった問いにはっきりと答えられるニューヨーカーはほぼいません。そのため、店のスタッフが大吟醸などの種類を説明したり、お薦めの銘柄を提示したりすると、すぐにそれを購入するという傾向があります。弊社ではテストマーケティングの場としても使えるレストランを運営しておりお客さんはNYでおける富裕層に当たるのですが、そういう方々は、ほぼ値段を気にしません。「日本酒が欲しいのだけど、どれがいいか教えてほしい」とスタッフに聞き、こちらが説明を受ければ値段を聞くことなく「では、そのお薦めのものにします」というケースが多いです。大事なことは、現地でいかにその銘柄の良さを伝えられるかにあるため、進出したい国や地域でPRしてくれるパートナーと組んで参入することをお勧めします。NYでのPRに興味のある方は弊社までぜひご相談ください。

ーまとめー


ロックダウン後、米国ではバーや飲食店で飲めない分、自宅でのアルコール消費量が増えています。日本の酒類は知名度が高くても、まだまだ浸透していないため、現地で銘柄の良さをプッシュすることができれば、可能性が十分にあります。ぜひトライしてみることをお勧めします。

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【解説】池澤崇
RESOBOX代表取締役社長。2005年にニューヨーク移住、邦銀勤務・大学院進学を経て、11年に起業。現在同市内で日本文化を発信する2店舗を運営し、レストラン事業や文化事業を展開。また、日本企業(主に中小企業)の米国進出の支援事業も行う。自社スペースでのイベントは年間50回以上開催し、コロナ禍の現在は主にオンラインで実施している。19年から経済産業省所管中小企業基盤整備機構の国際化支援アドバイザーとしても活動。

※米国進出に関する質問などはこちらまでお寄せください。

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