効果と効率を最大化する、海外進出コミュニティーの秘訣②~愛知県食品輸出研究会~


前回の記事でお伝えしたように、2011年8月に結成後順調に海外進出実績を増やし、13社だった加盟企業数を43社まで拡大した愛知県食品輸出研究会。今回はスムーズかつ効果的な組織運営のために設定された、新規加入時のユニークな仕組みをご紹介します。

新規参入の掟① 業種はできるだけバラバラに

食品業を営む会社であれば、どこでも研究会に加盟できるというわけではありません。そこにはいくつかの条件があるのです。まず、愛知県に事務所があること、そして研究会の意志として、参加企業の業種をできるだけ幅広くしたいという思いがあります。そこでもし同業者や競合他社がすでに会に加盟済みで、それでも入りたいという場合には、既存メンバーの許可が必要なのです。研究会は直近の海外進出計画やノウハウなど、自社の戦略が多く共有される場。競合に対する情報の漏洩を防ぐ観点でも、非常に合理的な仕組みだと言えます。また、なるべく多様な食品企業を会員として揃えることで、対外的な訴求力が強くなるというメリットもあります。実際に現加盟企業を見てみても、会長を務める平松さんのつぐだ煮の他、きしめんや八丁味噌など全国的に有名な食材から、お菓子やいちごまで愛知のあらゆる食をしっかりとカバーしているのが分かります。

会議の風景


新規参入の掟② 加入前にまずは見学者として勉強会参加

愛知県食品輸出研究会は、2か月に1度名古屋駅周辺で勉強会を開催しています。メンバーが一堂に会し、近況報告や有用な情報を得る貴重な場です。会に参加を希望する企業は、まずはこの勉強会に見学者として出席する必要があるのです。この場では単にどのような会議を行っているかを見てもらうだけでなく、見学者も必ず最低一言は発言してもらうのだそう。そうすることで新参加企業の特徴や担当者の人となりを知ることができ、相互理解が深まるのです。

会議の様子

新規参入の掟③ 既存会員が最終ジャッジ

勉強会を見学すればその場ですぐに加盟できるというわけではありません。見学者として参加した企業の加盟を許可するか否か、企業の情報や勉強会での印象等をもとに既存会員が最終決定します。そして次の勉強会の場で承認をもらうのです。このため、会に正式加入をするためには最低2か月の期間が必要。この審査を経ているからこそ、お互いへの信頼関係と会に対する帰属意識や貢献意欲が芽生えるのかもしれません。

このように、来るもの拒まずではなく慎重な条件設定と審査を経て、愛知県食品輸出研究会のメンバーは構成されています。単に組織を大きくすることに重きを置かず、会の質担保を優先していることが分かります。実際に会長の平松さんが目指す最終的な参加企業数は50社程度。その後カテゴリーやターゲットで企業を分けて、情報が自由に行き来する場にすることを目標にしているそうです。それでは、この会の要である勉強会とは具体的にどのような内容なのでしょうか?次回詳しくご紹介します。

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