【日本文化探訪記①トーホー(広島県)】海外市場で引っ張りだこ! 世界が認める日本製ビーズ


RESOBOX広報の末永です。弊社はアメリカ・NYを拠点に、日本の素晴らしい文化や伝統を世界に発信したり、日本から海外進出する企業様のビジネスをサポートしたりしております。
本コーナーは、日本で暮らす皆さまに、自国の文化や技術を改めて知っていただきたいという思いからスタート! 日本の職人技を堪能していただけると幸いです。

第一回目で紹介するのは「日本産ビーズ」。1951年創業の広島のビーズメーカー、トーホーの工場に伺いました。その品質は世界各国で認められ、製造するグラスビーズの種類はなんと1万種類以上に上ります。 
今回は、常務取締役の山仲元様と、工場長代理の比江義範様に、ビーズの歴史や現状を教えて頂きながら、作る工程を一から案内して頂きました。

語源は「祈る」 古代から存在

そもそもビーズとは「穴のあいた小さな玉」のことで、素材や形、大きさはさまざま。歴史は古く、語源はアングロサクソン語(古代英語)で「bidden(祈る)」「bede(祈る人)」に由来するといわれ、古代より神に祈りを捧げる装身具として使われてきたのだそうです。当時のビーズは土や天然石、貝で作られたものが多く、今でも世界中で出土され「古代ビーズ」として販売されています。人の目や顔を模した絵柄が入った神秘的なものもあり、数十万円、数百万円する貴重で高価なものもあります(興味のある方は「古代ビーズ」で検索してみてくださいね)。

日本のビーズ 海外から引っ張りだこ

現代では「シードビーズ」と呼ばれる、種 (seed) のように小さなガラス製のものが主流で、衣類やバッグの装飾品や手芸の材料として親しまれています。主な生産地は日本、中国、チェコ、インドの4カ国。日本のシードビーズメーカーはトーホーを含む3社が現存しています。日本製の特徴は「表面のつや」「粒のそろい方」「色の安定感」。単価が中国製より何倍も高価であるにも関わらず、海外では引っ張りだこなのだそうです。

職人技が欠かせない ビーズ作りの現場

歴史を伺ったところで早速工場内へ。広島市内から公共交通機関で約1時間ほどの場所に位置するこちらの工場では、随時70人ほどの職人がビーズ作りに従事されています。まず原料となる「ソーダ石灰ガラス」と「着色料」を計量する現場から見せていただきました。なんと、職人が計量を微調整されています。てっきり機械化されていると思い込んでいたので驚きました。「同じ原料を調合しても同じ色が出るとは限らないため、経験を積んだ職人が微妙な条件を確認しながら調整しています」と比江さんが教えてくださいました。

次に調合した原料を、1300℃に加熱した溶融炉で約20時間かけて溶かす工程を見学。溶融炉は火を落とすことなく年中無休で稼働しており、工場の内部は汗が首筋を流れ落ちるほどの暑さです。さらに、高温で熱せられとろりと溶けたガラス素地をスコップのような道具で取り出し、台の上で800℃程度まで折りたたみながら冷まします。職人がガラスの色を見ながら適温を判断し、次の成形炉へと運ぶとのこと。「機械でできる作業も年々増えていますが、手作業でしかできない工程も多数あります」と山仲さん。

そして、次に行うのが「管(かん)引き」という作業。ここで、ビーズの原型になる中心部分が空洞になった60㌢ほどのガラス棒が完成します。仕組みは、成形炉の下の部分に三角や丸など、ビーズの形を決める穴が開いており、中央部分に空気を送り込みながら、約40㍍ほどの距離を冷ましつつ引っ張ることで、出口に辿り着くころに固まり、完成するというもの。この作業も引っ張る速度などは、その日の状態を見ながらベテランの職人が細やかに調整されていました。火が飛び散ることもある危険な作業を、高温の環境で淡々と行う職人の集中力は圧巻です。

管(かん)引き
中心部分が空洞になった60㌢ほどのガラス棒

想像を遥かに超える工程を経て完成!

さらに、①特殊な機械をスタッフの方々が手作業で調整し、60㌢のガラス棒をビーズのサイズに切断②切断面を丸くするために加熱(真ん中の穴が溶けて塞がらないように穴には専用の灰粉を詰めておきます)③灰粉を落とすために何度か洗浄して脱水④仕上げに電気炉で熱を加えて表面を適度に溶かし、光沢を出す…といった作業を行い、原型となる200種類のビーズが仕上がります。

まだまだ終わりではありません。さらにそれぞれの商品ごとに、表面に色を付着したり、穴内部にのみ色を付ける中染め加工をしたりと、多くの作業が施され、約1万種類のビーズが完成します。
ため息が出るほどの多くの工程、職人の手作業を経て完成する商品。こんなにも小さいのに、一つ一つがまるで宝石のように美しく、見た人を感動させる理由が分かったように感じました。
国内外で、多くの人の日常を彩るビーズの世界。弊社では、今後ニューヨークからトーホーのビーズの魅力をより多くの人へ伝えていきます。

アクセサリーブランドとしても注目

トーホーの商品は、最寄りの手芸店はもちろん、ウェブサイト
https://beads-market.net/)からも購入できます。また、アクセサリーの自社ブランドも展開されているので下記サイトから是非チェックしてみてください。②③はJR広島駅の商業施設エキエ内のショップ「しま商店」でも販売中です。広島にお立ち寄りの際には、実物を手に取ってみてくださいね。

「しま商店」で販売されているピンバッジ

①PENTA http://penta-toho.com/ 
デザイナーFUJI TATE P(フジタテペ)さんとのコラボレーションブランド。ビーズを立体的に見せるなど斬新でスタイリッシュなデザインで注目を浴びています。国内外の著名人がプロモーションビデオなどで使用したことでも話題です。

②Beaded DNA​ https://www.beaded-dna-jp.com/
マレーシアのデザイナー「アレックス・ゴー」とのコラボレーションブランド。オリエンタルな雰囲気とリーズナブルな価格が人気の秘密です。

③Tolerance(トレランス) https://www.tolerance-toho.com/
社内のデザイナーが手がけているブランド。手刺繍で施された繊細なビーズはみているだけで幸せな気持ちにしてくれます。

●「トーホー株式会社」のHP  http://www.toho-beads.co.jp

●「株式会社RESOBOX」はニューヨークを拠点に幅広い企業を対象にした海外進出支援サービスと、バラエティーに富んだ文化事業を展開しております。問い合わせなど、詳しくはHPをご覧ください→https://resocreate.com

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