日本で大人気の100円均一。「これで100円!?」と驚くような商品が目白押しで、お得感満載です。他にも吉野家の牛丼は420円、セブンイレブンの北海道産クリームロールケーキは158円と、品質からは考えられないほど安い商品がたくさんあります。だから日本人の感覚では、安くても良いものがあると信じてしまいがちです。アメリカ進出を考えるとき、実はこれが落とし穴になるのです。
基本的な認識は「安かろう悪かろう」
アメリカにいて驚かされるのは、そのサービスの質。日本では先に述べた低価格商品を扱う店舗でも、しっかりしたサービスが行き届いています。店員が少しでも不遜な態度をとれば、即クレームでしょう。一方、アメリカの低価格帯商品店では、商品を投げる、注文を間違える、目も合わさないなどは日常茶飯事。スーパーで商品の場所を聞いても、「さぁ、知らない」とそっけなくあしらわれます。買う側も、安い店の店員に多くは期待していません。彼らが低賃金で働いているのを知っているからです。もちろん、高価格帯のお店に行けば日本と同様の手厚いサービスが受けられます。このように、安い店には安いなりのサービスや商品が、高い店には高いなりのサービスや商品があるというのが一般的な認識なのです。
低単価店と高級店の客層はまったく異なる
日本では、ある程度お金持ちであってもファストフード店や牛丼店を利用する人はたくさんいます。コンビニとなればなおさらでしょう。安くて良いものがたくさんあるのだから、わざわざ高いお金を払おうとは思わないのです。一方、アメリカの特に飲食店では、低単価の店にお金持ちはあまり行きません。階層が交わらないのです。それもそのはず、安いものは質が悪く、高いものは質が良いなら、高いものを買える人は高級店にしか行かないからです。そして低単価の店は店内が清潔でなかったり、ホームレスが居ついたりと、一般人は入りづらい雰囲気を醸し出す店も多々あります。「安くて良いもの」が当たり前なのは、日本ならではのメリットだと思ってください。
あえて高価格に設定する戦略
アメリカで商品販売を考えた時、薄利多売を目指して商品の価格を極力安くおさえるのもひとつの戦術です。しかし、一度安く出してしまった商品の値段を上げるのは難しいです。そして、安い商品は、アメリカでは「それなり」の商品だと思われてしまいます。安くした方が売れるからと、安易に価格を下げてしまうことは危険なのです。商品の質に客観的メリットがたくさんあり、消費者の期待に応えられるのなら、アッパークラスをターゲットに、あえて高い価格設定にするのも有効です。「このくらい高価なら、品質も良いはずだ」という裏付けにさえなるのです。
どのような商品だと思われたいか?
商品価格を設定する際、原価から計算する方法、競合の価格を調査し競争力を持たせる方法など色々とありますが、商品のポジショニングから価格を決めるという手段が時に有効になります。特にアメリカ人に親しみがない伝統工芸品などを扱う場合、その価値を伝える一番の方法が価格になるかもしれないのです。焦って安易に商品価格を下げることは禁物です。