1月上旬から、週二回更新のポッドキャスト番組「ニューヨークの中心で日本を叫ぶ」を始めました。知人にはYouTubeやTikTokを勧められましたが、流行り廃りではなく、いかに自分の目的と届けたいリスナーに合った媒体を選ぶかということが重要なため、少し悩みはしましたが、ブログ(文章)+ ポッドキャスト(音声)が自分にとってベストという結論に達しました。
今回は、情報を発信するためのさまざまなチャネルに関し見解を述べながら、今後さらに拡大するであろう音声メディアが注目される理由などについてお話ししています。
NYCで日本文化を世界に向けて発信する企業を立ち上げ、10年目を迎えました
この話をするにあたり、まずは欠かせないのが、僕がNYCで展開しているRESOBOXの存在です。ありがたいことに年を追うごとに会社は順調に成長し、日本の企業と米国の企業や学校、小売店を繋いだり大きなイベントを主催したりと、さまざまなお仕事の依頼を頂くようになり、当然その過程で店舗数、スタッフ数共に増えていったのですが、ここ数年でしょうか、コロナ禍以前から既に、事業自体は拡大しているにも関わらずこの二つの「数」が徐々に減っていっています。
リースしていた店舗は家主が個人的な理由で売却したいという意向のため出ることになったり、スタッフは家族の事情で母国に帰らなければいけなくなったり…。
それらの減少にも関わらず経営努力により拡大を維持できてきた面もありますが、果たして現在自社が持っているそれらのリソースを最大限有効活用し、顧客にとって最適な形でサービスを提供できているのか、と改めて考えるようになりました。
企業自体はもちろんのこと、個々のプロジェクト毎にもまたベストのチャネル選択が必要
例えば、現在弊社では、数十あるプロジェクトの一つとして米国での日本の食品メーカーのプロモーションを目的とし、NYで活躍する非日本人シェフ数名と日本人シェフとは異なる視点がたっぷりと詰まったレシピ本を作成中なのですが、その際にどのコミュニケーションチャネルを使うべきか試行錯誤をしております。
通常のレシピ本ですと、出版社と協力しながら紙媒体で印刷し販売するのが王道かもしれませんが、料理の性質上、動画の方が手順がわかりやすく、情報も多い。ただし、試聴に時間がかかり、別の作業をしながら見るのが難しいため人の時間を奪ってしまいます。
これを会社が提供するサービス全般を考えた時に当て嵌めますと、やっと最近になり自社のサービスを求めている方々の層がはっきりと見えてきたかな、という中、
「彼らに届けたい情報を発信する場として、このコロナ禍で店舗を持ち続けることがベストなのだろうか?」
「(維持コストに関しては一旦無視するとして)店舗は多い方が客との接触ポイントが増えるので一般的には良いように思えるけど、それが減少傾向にも関わらずプロジェクトは増加し続けており、かつサービスの質がキープできているならばそれを維持することは(あくまで自社にとってだが)果たしてお客さんにとって必要なことなのだろうか」
と考えるのは自然ではありますよね。
2021年は自社が持つ店舗という販売チャネルも含め、ベストな組み合わせを模索し続ける一年になりそう
そこで今年1月からスタートしたポッドキャスト。代表である僕自らが、自社で行っている事業の紹介を兼ね、関連する業界話なども含め語っていこうと思って始めたチャネルです。「ポッドキャスト=音声」と、その内容を綴る「ブログ=文字媒体」を同時に行い、ミックスさせることで、さまざまな人に今届けたい情報を的確に届けられると考えています。
知りたい内容を検索してヒットした人には文字媒体として読んでもらってもいいですし、NYの今や今後を知る音声ツールとして、何かをしながら(手を動かすタイプの仕事や運転などの移動時間、または料理しながらなど…)聞いてもらうなど、受け取り方はその方次第。もちろん両方を見聞きしていただいても楽しめる工夫を盛り込んでいます。
ラフなスタイルで皆さんに何らかの「気づき」を提供したい
情報の中身はシンプルで僕自身がNYに来て得たもの、また、これから得ていくものです。さらに「アメリカでさまざまな方法を駆使しながら日本をアピールしている日本人がいることを知ってもらいたい!」という強い願いを含んでいます。
「で、それを知った視聴者はどうなるの?」「メリットは?」と聞かれそうですが、例えばビジネスをされている方でしたら、「池澤と組めばこんなことができる」と、可能性に気づいてもらえたり、「アメリカでは日本の商品や文化がこんな風に広がっているんだ(または広がっていないんだな)」という知識をインプットしてもらえます。
番組の中では、僕がビジネスの中で実践したりチャレンジしたりした結果を、研究した過程を含めて包み隠さず公開して参ります。そんな中で、皆さんにちょっとでも日常や未来を豊かにする「気づき」を提供できたらと考えています。
ちなみに、僕自身は、現在ポッドキャスト2番組を制作し、毎週3本を収録&公開中です。
番組には、僕のレストランで働いてくれていた部下たちに登場してもらっています。舞台俳優志望の男性や、ニューヨーカーとご結婚された子育てママなど、それぞれが自身の事情によりNYで暮らし、面白い個性を持っています。各々に目指すゴールは違うのですが、彼らにはこのポッドキャストを今後の人生を充実させるツールにしてもらいと考えています。
なぜYouTubeじゃないのか?
ポッドキャストとブログをはじめた時「なぜ、大勢がやっているYoutubeじゃないのか?」「ブログだけじゃだめなの?」「Instagramや TikTokも注目されている」と多くの質問やご意見を頂戴しましたし、もちろんそれら各チャネルの勉強は常にしておりますが、レビュー数で人気度合いを競いたいわけではないですし、Youtubeのようにコンテンツの評価に際し、内容だけでなく登場する出演者の外見なども重要な判断材料になると僕の場合は残念ながら(笑)不利になってしまうので。
一方、これらの観点からポッドキャストは少し離れています。限られた方だけで良いので、僕がやっていることを「こいつ面白いなぁ」と感じもっと話を聞いてみたい、という人に届けたいですし、一方向のコミュニケーションにならないよう、リスナーの方からはジャンジャンと質問等をいただき、番組の中でセッションしたいですね。また、将来的には一緒にお仕事ができたらとても嬉しいです。
音声はもっと注目されるべき
冒頭で少しお話しした通り、テレビや新聞、ラジオ、YouTube、Instagramなどそれぞれ発信する情報によって向き不向きがあると思います。
今回、僕が選んだインターネットを介した音声ツールですが、ここアメリカではGoogleやAmazonが販売しているスマートスピーカーが、日本とは比にならないスピードで普及。本をそのまま音声で読み上げるオーディオブックなども注目されています。
そんな音声ツールの中でもポッドキャストの成長と進化は著しく、人気のDJは巨額の金額で雇われていたりと新たなヒーローが生まれたりしています。
僕もニューヨークタイムズなど大手メディアの番組から、ファンでもありイベントを一緒にやったこともある落語家の立川こしらさんが出られている番組「新ニッポンの話芸」を毎週楽しみにしていたりします。こうやって僕らが配信してるように、誰でも始められるのも拡大している大きなファクターですね。
ここで、お薦めの音声ツールを1本ご紹介します。今回の放送の中で、3歳のお子さんをNYで育てている大塚さん一押しの「Story Times」という読み聞かせのアプリです。
これは、バイリンガルを育てるという視点において、動画であるYoutubeも教育素材として素晴らしいのですが、英語も日本語もきちんとした発音で使えるように育ってほしいという彼女のニーズにマッチしたものです。
ハーフの子供を育てる際に、親の両方共が必ずしも第一言語として特定の言葉を話せるわけではないですし、また例え第一言語であっても綺麗な完璧な発音で話せるわけでもないものです。そんな時にこういうアプリを使うことで、その点を最適化することができるという良い例の一つと言えるでしょう。
今回紹介した音声ツールは、動画などのサービスと比較すると、日本ではまだまだ浸透していないかもしれません。ただ、どちらが良い悪いということではなく、自社や自分に必要な情報を、音声、動画、文字などの様々な異なるサービスの特徴をきちんと理解した上で、選ぶことが重要です。この放送を聞いてくれた方には、自分が情報を得る際に、意識して選択することから始めてもらえたら幸いです。
最後になりますが、実は今注目のメールマガジンサービスも考えていました
世の中いろんな媒体がある中で、最近人気急上昇中なのがメールマガジンサービス「Substack(サブスタック)」についてもここでお伝えしておきたいと思います。日本語対応していないため、まだ日本でご存知の方は少ないかもしれませんが、現在米国では非常に注目されているメールマガジン・音声配信を簡単に作成できるサービスです。
このシステムを使っての配信も考えましたが、生の音で伝えることで、海外に15年以上長期滞在していながら、日本にいる日本人より日本人らしい人間であると伝われば嬉しいと思って…(笑)。
ご存知の方も多いと思いますが、長年海外で暮らしていると「他国の文化に染まってしまい、日本のことを分かってくれないだろう」と、思われることがよくあるんです。
そこで、文章だけではなくより人間味が伝わるポッドキャストを中心に据える事にしたという訳です。ぜひ、ブログだけではなく、僕らの温ったか〜い(笑)生声も聞いてやってくださいね。
[今日読んだ本]