海外進出を考える際、大企業であれば支社を作り駐在員を置くなどができますが、中小企業ではそれが難しいと足踏みされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、中小企業が最低限のコストで海外進出を成功させるための重要なステップをお伝えします。
①現地での協力企業を探す
例えばマーケティングリサーチを行う際、現地の事情に精通していないと実態を掴むのは難しいものです。海外担当者を置き、何度も足を運ばせる方法もありますがこれでは渡航費などコストが膨らみます。そこでまずは現地でマーケティングや営業を代行してくれる企業を探すことが重要です。費用は企業によりますが、相談は無料なことも多いのでまずは見積もりをとり比較しましょう。また、ビザ関連に強い現地の日本人弁護士や信頼できる税理士などを紹介してくれる企業だとより心強いですね。
②テストマーケティングを行う
自社製品を扱ってくれる店や協力企業を見つけても、仲介料や手数料だけ払ってまったく売れない事例も多くあります。原因は、自社商品が現地のニーズに合っていないことが大半です。このために欠かせない重要なステップはテストマーケティング。特にアメリカは様々な人種やバックグラウンドを持つ人たちが集まっており、どの層をターゲットにするかで商品がまったく変わってきます。実際に既存の商品をなるべく多くのカスタマーに見てもらい意見を集めることが重要で、予算や人材が豊富な場合はバイヤーが集まる大規模な展示会に英語が堪能な担当者を複数派遣するなどの方法があります。予算や人材に不安がある場合には、例えばRESOBOXでは商品を日本から郵送でお預かりし一定期間店舗展示・集まった意見をご報告しています。予算や目的に応じて最適な方法を検討しましょう。
③現地の特定ターゲット向け商品開発
テストマーケティングでカスタマーニーズをつかんだら、ターゲットに合わせた商品開発を行います。日本の商品をそのまま持ってきて成功する例は、実はあまり多くありません。もしくは同じ商品でも、違う使い方や食べ方を提案することが必要です。例えばがんもどきは日本ではおでんの具として親しまれていますが、アメリカ人にとってはおでん自体親しみがありません。そこでターゲットをヴィーガンに設定し、大豆ナゲットとして売り出したところ成功を収めました(詳細はこちら)。このように、ターゲットに合わせて必要であれば商品を改良すること、変えない場合も、商品の何を売りにするかを再検討することが重要です。このために入念なテストマーケティングが必要なのです。
④FDAなどの許可・申請
第一に、扱っている自社商品を現地で売ることができるかを調べる必要があります。例えばアメリカで象牙製品を売ることはできません。自社商品が現地で販売可能かは、①の協力会社選定時に問い合わせることができます。更に、商品の種類によってライセンスや認証が必要な場合があるので注意が必要です。またオーガニック製品であればUSDA(米国農務省)に認定されることで商品の価値と競争力が上がります。食品などFDA(詳しくはこちら)が必要な商品であれば取得に時間がかかるため、①~③と同時進行で行っても良いでしょう。
⑤販路を確保する
商品開発を行い、必要な許可申請がとれたらいよいよ販売です。しっかりとテストマーケティングと商品開発を行っていれば、確度が高い商品になっているはずなのであともう一息です!自社商品を扱ってくれるお店を営業して探す他、展示会に出てバイヤーとコンタクトをとることもできます。しかしこの場合注意点がありますので(詳しくはこちら)、事前に頭に入れておきましょう。
⑥法人化や生産地の検討
販売のめどがたってきたら、最後は今後に向けた体制作りです。現地法人を作るのか、倉庫をどこに置くのか、生産はどこで行うのかなど、検討を重ねていきます。企業の種類ごとに今度の戦略は変化しますので、迷ったら協力会社に相談するのも手です。
コストは自治体の補助金などを賢く利用
ステップは以上です。もし費用面が心配なのであれば、自治体の補助金が使えないか調べて相談してみましょう。多くの都道府県や市は海外進出のための補助金を予算に組み込んでおり、リサーチ費用など工面できることがあります。海外進出を考えるなら、まずは一人で悩まず、公的機関や支援会社の力を借りてみることが大切です。