こんにちは。RESOBOX広報の末永です。弊社は日本人オーナーが、ニューヨーク市内にギャラリーやカフェなど3店舗を経営している関係もあり「ニューヨークで店舗を出したいのでアドバイスが欲しい」「文化の違いは埋められるものか」などなど、米国で出店を目指す日本人の方がよく相談に訪れます。
先日も日本から女性が訪ねて来られ「ベーグル店を本場NYで出店してみたい」というご相談を受けました。その方にもお伝えさせて頂いたのですが、日本人がNYで店舗展開する上で「本気で取り組む姿勢やビジネスアイデア」はもちろん大切ではありますが、絶対に欠かせないものが「ビザ」です。今回は、彼女のような企業家に焦点を絞り、米国進出に必要不可欠なビザについて解説します。
自分の置かれた状況を知り、事前の取得が必要
ビザは簡単に言うと「渡航先の国が発行する、入国許可証」のことで、国によって種類や形式はさまざまです。米国の場合は観光用、留学生用、駐在員用、報道関係者用、芸術家用などさまざまな種類が存在し、それぞれ発行のための難易度や期間が異なります。ビザがないと、基本的に現地の銀行からの融資を受けることもできず、資金調達さえできません。申請してから発行されるまで半年程度掛かるケースもあるので、自分の業況を把握し、入国前にしっかりと準備しましょう。
米国での起業する方々の選択肢の一つ「Eビザ」
「では、日本人が米国で事業展開する際には、どのビザをどのようにして取得すれば良いのか」。今回の相談者のように会社を設立して、店を構える場合、Eビザは一つの選択肢になるでしょう。Eビザには、貿易駐在員(E-1)と、投資駐在員(E-2)の2種類があります。貿易駐在員(E-1)の条件を満たすには申請者(この場合はオーナー)が主に米国と条約国(日本)との間で、ある一定以上の金額(取引内容や頻度、取引物などで総合的に判断)で実質的、継続的な貿易を行なっていることが必要です。
また、投資駐在員(E-2)は、申請者が相当額(取引内容や頻度、取引物などで総合的に判断)の投資をした会社の運営を指揮し、事業を発展させるために渡米していることが条件として求められます。細かい条件などは「在日米国大使館・領事館」のEビザ解説ページ(外部リンク)に記載されていますのでご覧ください。
書類審査と個人面接
では、Eビザ取得のステップを紹介。大きく分けて2つのステップで進みます。
①大使館または領事館にてEビザ企業登録
ビザ申請をする企業はすべて、東京の米国大使館または大阪の総領事館での登録が必要です。詳しくは
「在日米国大使館・領事館」のページをご覧ください。
②登録企業のEビザ申請
Eビザ申請のためには大量の書類を作成し、書類審査を受けます。書類が審査を通過すれば、その後大使館や領事館で個人面接を受け、合否が決まります。ちなみに弊社代表の場合は書類の枚数は200枚程度、面接時間は約30分で、マーケティングプランについて詳しい説明を求められました。
また、Eビザの期限は5年で、一度取得しても更新し続ける必要がありますので注意が必要です(目的によって領事が判断するため、5年以下の場合もあります)。
ビザいらず グリーンカード取得を目指そう!
また、米国での永住権(グリーンカード)を持っていれば、ビザを取得せずとも米国でビジネス展開が可能です。取得のための方法は主に5つ。
①米国国籍の方など、永住権を持つ人と結婚
②雇用先のバックアップでの取得
③卓越技能労働者(国際的なトップアスリートやノーベル賞受賞者など)
④米国への投資(米国人雇用創出を目的とした投資移民プログラム。100万ドル以上の投資や、特定の雇用促進地域で50万ドル以上を投資し、最低10人以上の市民を直接雇用する起業家に適応)
⑤インターネット抽選「通称グリーンカードくじ」に応募して当選
2018年度の日本人当選者は376人
①〜④は、一般的な個人にどうこうできるものではありませんが、⑤の「グリーンカードくじ」は、高校卒業程度の資格など、ある程度の条件を満たす日本人であれば誰でも応募できます。年に一度、秋ごろにインターネットで実施されるので挑戦してみるのも一つの手です。ちなみに2018年に実施された「DV-2019」の応募者数は、全世界で1435万2013件で、当選者は8万7610人。そのうち日本人は376人でした。
このように、他国でのビジネス展開にはさまざまな関門がありますが、現地に精通した移民弁護士の協力を得ることが必要でしょう。日本語が通じるとより安心ですよね。NYの弁護士をまとめた記事もあるので参考にしてみてください(NY発信の総合情報サイト「NYジャピオン」)。ひとつずつクリアして前進することで、新たな可能性と巡り合えます! ぜひ挑戦してみてくださいね。
免責事項 本記事は、法律に関連する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。具体的な案件への実際の法律の適用については、専門家にご相談下さい。