自社商品のターゲティングを行う際、どのような要素を検討・決定しているでしょうか?日本では、性別のほか世代(F1や団塊ジュニアなど)、年収などが主流ですが、アメリカ進出を行う企業であれば検討すべき項目がいくつかあります。今回は日本人向けマーケティングでは気づかない3点に絞ってお伝えします。1回目は人種についてです。
肌の色の違い
特にニューヨークは人種のるつぼと言われるだけあって、様々な肌の色、目の色の人が行き来しています。例えば化粧品のファンデーションについて、その色展開の幅広さは日本とは圧倒的に異なります。日本では日本人女性をターゲットにブルーベース、イエローベースなど大きく分類し、その中で肌の明るさに合わせて微妙に差をつけて色展開をしている場合が多いです。一方アメリカでは白人向け、黒人向け、ヒスパニック向け、アジア人向け等と明らかに異なる色のラインナップとなっています。化粧品以外にも身に着けるもの、例えば服やアクセサリーなどは、どの人種をターゲットにするかによって用意すべき色のラインナップが変わるのです。
消化機能の違い
「海苔を消化できるのは日本人だけ」というフランスの研究チームによる論文が、2010年に有名科学誌ネイチャーに掲載されました。日本人だけが持つ腸内細菌が消化を助けていると結論づけられていますが、このように人種が違えば消化機能も異なります。進化の過程で全く異なる環境や食生活に身を置いてきたのですから、当然といえば当然です。日本人よりも欧米人の方がアルコール分解能力が高く、度数が高いお酒を飲んでも悪酔いしづらいという研究結果もあります。ここで気を付けるべきことは、食品を販売するとき。ターゲットとする人種にとって、その食べ物がおいしいと思われるかだけでなく、体がどう反応するか、欧米人が食べることで消化不良など不快な作用はおきないか、事前にテストマーケティングで確認しておくと良いでしょう。
見える色の違い
アジア人と白人では、見えている色に違いがあるというのをご存知でしたか?眼の虹彩の関係で、白人のほうがより光を感知しやすく、まぶしく感じるのだといいます。これを裏付けるように、日本の室内は蛍光灯が主流ですが、アメリカの室内は間接照明などで比較的暗いことが多いです。日本人にとっては、少し暗すぎると感じるかもしれません。サングラスをつけている白人が多いのも、単なるおしゃれではなかったんですね。このように、アメリカ進出用の商品を検討する際には、商品色だけでなくパッケージの色まで、日本人の感覚だけに頼らないことが重要です。ターゲットとなる人種の意見を聞くのが最も確度が高いと言えます。
人種による違いの主な3点をご紹介してきましたが、忘れてはならないのが「骨格の違い」。身体の大きさについては人種による違いだけでなく生活習慣などによっても日本とは違う面も多いため、ターゲティングの際の注意点があります。