−織田畳店・織田吉美さん編−①畳の新たな提案! 敷く文化から持つモノへ


海外で挑戦するアーティストや企業担当者をRESOBOXスタッフがインタビューし、経験談やアドバイスを語っていただく「海外挑戦者インタビュー」シリーズ。第二回目は、1897年創業の「織田畳店」(奈良県田原本町)です。
畳の需要の低下に危機感を抱き、2015年、財布やスマホケースなど、畳をあしらった小物ブランド「織田たたみ®︎」を立ち上げられました。メイン商品のラウンド財布は、2016年度の「グッドデザイン賞」を受賞。ブランドマネージャーの織田吉美さんにお話を伺いました。

Q1・畳で小物を作ろうと思ったきっかけは?
A・「畳」需要低下による危機 

弊社は奈良県で1900年に創業し、私の夫である織田理で4代目です。現在は夫婦で畳の文化を後世に残すために奮闘しています。畳での小物作りは二人のアイデアでスタートしました。これまで日本の家屋の大半は和室でしたが、現在では一般的な新築一軒につき、1、2部屋程度に需要が減少しました。以前から「何か行動しなくては」と危機感を抱いていました。そして2013年、思いが募り動き始めました。
まずは「畳表」を何か制作できないかと、家庭用ミシンで縫ってみました。畳表とは、畳の原料である「イグサ」という植物などで織ったござのことで、畳の表側になる部分(まさに皆さんが畳という言葉から想像する薄緑部分)を指します。
最初のきっかけは、携帯ケースを作ったところ、仕事現場の大工さんから「iPadのケースは作れないの?」と興味を持って頂いたことです。作ってプレゼントすると、気に入ってもらえました。その後、他の方からも携帯ケースのリクエストが寄せられ、少しずつ注文が入るようになったのです。数をこなすうちに「どうしたら見栄えが良いか」「使いやすいか」と研究をするようになり、専用のミシンも購入。畳表での雑貨作りにのめり込んでいきました。

Q2・本格的に始動! 財布職人とタッグを組んだ理由は
A・畳の存在感を生かした逸品に仕上げるため

これは事業にできると確信して商品化を決めた時、スマートフォンやタブレットのケースは機種によってサイズが異なることがネックになりました。そこで、最初の商材に選んだのが財布です。しかし、カード入れや小銭入れの部分など、縫製が想像以上に複雑で1個作るのに4日間もかかってしまいました。
これでは、コストと時間が掛かり過ぎて商売にならないと感じ、商工会の方に相談したところ、「織田さんはデザインなどプロデュースに専念し、縫製はプロに任せてみては」とのアドバイス。タッグを組む職人を探すことにしました。そして辿り着いたのが県内の財布職人・永井博さんです。30代の若い職人さんでアイデアも豊富。素晴らしい技術もお持ちでした。試作品が仕上がった時、美しい縫製に感動したことを今でも覚えています。
その後、彼に正式に依頼。使い心地や耐久性など、縫製のプロの意見を交えながら細部まで徹底的にこだわり、何度も試作品を作っては改良を重ねて完成。「畳の存在をもう一度思い出してもらいたい」という一心で頑張りましたね。

財布職人・永井博さん

Q3・京都の西陣織など他の伝統工芸も盛り込んだ理由は
A・日本の伝統文化をPRするため

せっかく畳で作るのだから、とことん「和」にこだわり、日本の伝統文化をPRできる「メイド・イン・ジャパン」な商品にしようとの思いからです。ファスナーチャームは鋳物工場で作られた真鍮を採用。革は本革。また、財布を開くたびに心弾むようにと、中布には京都西陣織の帯の布地で、奈良らしく正倉院宝物、鹿などを美しく表現した柄を取り入れました。どの素材も、実際に作っている工房へ出掛けて職人さんと意見交換をしました。
畳は「敷くモノ」であるという固定概念を覆し「持つモノ」として広げたいとの思いから、商品のキャッチフレーズを「敷く畳から、持つたたみへ。」と掲げ、2015年に「織田たたみ®️」ブランドとして発売しました。

織田さんご夫婦と永井さん。3人で試行錯誤を重ねられました

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<編集後記>

今回のインタビューで印象的だったのが織田さんのパワフルさ。次々と挑戦される姿はカッコいいですし、妥協しない信念の強さが成功の鍵だと感じました。連載2回目の次回は「グッドデザイン賞」について教えていただきます。