前回こちらの記事で、ESTAの基本情報についてご紹介しました。そしてお伝えしたように、ESTAは申請すれば誰でも承認されるものではありません。今回は、実際に承認が下りなかったケースを詳しくご紹介します。
ESTAの事前申請は行っていた
沖縄エクスカージョンズ株式会社の護得久さんは、2018年11月に海外進出のためアメリカ出張を計画していらっしゃいました。事前にESTAの申請を行い、居住地の沖縄から成田空港でアメリカ行き便に乗り継ごうとした時のこと。「私の名前を書いたプラカードを持っている人がいて、案内されるまま着いていくと、ESTAの承認が下りていないからアメリカ便には乗り継げないと言われたんです」という衝撃の展開が。なぜこのようなことになったのでしょうか?
ESTAを申請したいなら「行ってはいけない国」がある
護得久さん、実は現在の会社の代表になる前は商社にお勤めでした。石油取引を担当し、イラクに数回渡航歴があったのですが、これが問題となりました。2011年3月1日以降イラク・イラン・スーダン・シリア・リビア・ソマリア・イエメンのいずれかの国に渡航歴がある場合、ESTAは利用できないのです。護得久さんの場合、ESTA申請時の質問票に答えた際、イラクへ渡航歴があると申請したため却下されてしまったのでした。「沖縄の空港ではこの事実を知らされず、成田で初めて分かりました」。
すぐに米領事館へ行きビザを発行
護得久さんはすぐにアメリカ領事館のウェブサイトにアクセスし、ビザ申請のための空き状況を確認。事情を説明し、緊急対応扱いにしてもらってB-1/B-2ビザを取得することができました。そこから改めてアメリカ便に飛び乗り、当初の出張予定はこなせなかったものの、無事に渡米自体はすることができました。このビザは10年間有効で、12月に二度目の渡米をした際には、ESTAの登録は確認されたもののビザを持っていたことで何も問題が無かったそうです。
航空券が片道の場合もNG
このように、特定国への渡航歴がないことの他にも、いくつか申請を受けるには条件があるので必ず早めに確認をしましょう。例えば日本への復路航空券がない場合も、ESTAの申請は下りません(空席待ちまたはオープン券があれば問題ありません)。また、近隣の国々(カナダやメキシコ、カリブ海等)を最終目的地とし、経由地としてアメリカの空港を利用する場合もやはりESTAの対象となりませんので注意が必要です。
免責事項 本記事は、法律に関連する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。具体的な案件への実際の法律の適用については、専門家にご相談下さい。