効果と効率を最大化する、海外進出コミュニティーの秘訣④~愛知県食品輸出研究会~


これまでの記事で、愛知県食品輸出研究会がどのように参加企業を増やし、効果的な勉強会を行っているかをご紹介しました。今回は、同会に所属する企業の海外進出実例を中心にお送りします。

所属する全企業がすでに海外進出を行っているわけではない

愛知県食品輸出研究会の特徴として、海外進出を経験済みの企業が、未経験企業に情報をシェアする仕組みがあります。実際に、現在所属する43社のうち、実際に世界で活躍しているのは半分程度。これらの企業の主な進出先は、香港を中心としたアジア圏だそうです。特に香港の百貨店での催事は過去3,4回、商談も複数会と経験を重ねています。日本の食品はアジアマーケットで親しみがあるものも多く、短期間で実売に繋げやすいという背景もあるようです。

若年層も多く駆け付けた台北での試食イベント

佃煮メーカーの海外進出も、まずは台湾から

同会の会長を務める平松さんが営むのは、愛知の佃煮メーカー・平松食品。海外進出は1998年から、商社を通じて台湾に輸出が始まったそうです。しかし、新しい商品を出してもなかなか定着しない状態が続きます。直接取引ができないことで、現地のカスタマーやマーケットに関して欲しい情報が即座に情報が得られないことが難点でした。この状況を鑑み、平松食品は工場をリニューアル、第三者認証を取得し、海外の現場に直接出ていくことを目指しました。貿易実務を商社に委託する一方、自ら顧客開拓を行ったのです。その後2006年から台湾の展示会に出始めたのを皮切りに、年間5回ほど海外展示会に出展するように。出展先もアジアからアメリカへと徐々に拡大していきました。

試食でにぎわう展示スペース

海外市場に出て初めて分かった、定着に向けてのハードル

「初めて台湾の展示会に自社商品を出品したとき、試食が日本での展示会の3倍出たんです。それが嬉しかった」と語る平松さん。特に若年層の試食が多かったそうで、日本での既成概念にとらわれない、海外市場での佃煮の新たな可能性を感じたそうです。ところが、おいしさを認めてもらってもなかなか実売に繋がりませんでした。理由は食文化の違い。同じアジアの食文化と言っても、初めて見て食べたものを買ってもらうハードルは、想定以上に高かったのです。愛知県食品輸出研究会の加盟企業においては、白醤油や八丁味噌メーカーも同じ課題を抱えていました。どうすれば海外マーケットで定着するのか、そのヒントはこの食文化の違いをどう乗り越えるかにあったのです。

次回の記事では、この食文化の違いを突破し、海外マーケットで受け入れられるために行った具体的な施策をご紹介します。

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