−織田畳店・織田吉美さん編− ②「グッドデザイン賞」受賞への道のり


1900年創業の「織田畳店」さんに、伝統文化を進化させた畳の雑貨ブランド「織田たたみ®️」について語っていただく連載シリーズ。2回目は、2016年に受賞された「グッドデザイン賞」について教えてもらいました。

Q4・商品発売から1年後に「グッドデザイン賞」を受賞されましたが経緯は?
A・偶然が重なり、知人のアドバイスで応募

そもそも「グッドデザイン賞」を目指していた訳ではなく、偶然が重なって応募に至りました。
ブランドを立ち上げて間もない頃、「奈良町資料館」館長の南哲朗さんが、主人の畳携帯ケースを見て同館での展示を提案。展示会を開催しました。たまたま、その展示を見た県の職員の方が、日本最大級の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー」(主催・株式会社ビジネスガイド社)の奈良県ブース出店を提案してくださり出品。そして、ギフトショーの後日、イタリアで開催される世界最大級の国際デザインコンペ〝エーダッシュデザインアワード〟から、「エントリーしてみないか」とメールが届いたのです。
そこで、ビジネス関係に詳しい知人に相談したところ、「どの道エントリー費用が掛かるのだから、まずは国内の賞を受賞して地名度を上げてみては?」とアドバイスを受け、グッドデザイン賞に応募したという流れです。常にPRを意識し、自分自身も広告塔になって商品を身に付けていたことが功を奏しました。

Q5・「グッドデザイン賞」の流れは? 何作品程度受賞できるのですか?
A・2016年は応募総数4085件から1229件が受賞

応募後は、審査、プレゼンなどがあり、約半年で結果が出ます(「グッドデザイン賞」のコンセプトや詳しい流れなどは、別記事で紹介していますので合わせてご覧ください)。私たちが「ラウンド財布」で受賞した2016年は、4085件の応募に対して1229件が受賞しています。
受賞の理由として、アイデアはもちろん、縫製の良さと細部へのこだわり、表面の畳部分が傷んだときに張り替えられるメンテナンス性が高く評価されたと聞き、妥協せずに作り上げた努力が報われ、嬉しかったです。

●「グッドデザイン賞」応募の流れ

①応募…4月「グッドデザイン賞」の公式ウェブサイトから応募
②一次審査…エントリーサイトに入力された情報をもとに審査
③二次審査…7月から9月ごろに実物を審査会場に展示し、審査員が様々な視点から検討+デザイナーからのヒアリングや現地調査を行う場合もあるそうです
④特別賞審査…二次審査を通過した作品の中から「グッドデザイン・ベスト100」を選出し、そこからさらに「グッドデザイン金賞」「特別賞」が選定されます
⑤発表…10月初旬に発表されます。
※詳しくは、公益財団法人日本デザイン振興会が運営する「グッドデザイン賞」の公式HPをご覧ください http://www.g-mark.org/

Q6・受賞によるメリットは?
A・国内での知名度向上

「グッドデザイン賞」を主催する日本デザイン協会が、「HP」「イベント」「百貨店での展示会」などで広く紹介するなどバックアップしてくださるため、人の目に触れる機会が圧倒的に増え、販路拡大につながりました。受賞以前は奈良、京都のみでの販売でしたが、東京、富山、名古屋での販売が決まりました。確実に地名度が上がったと思いますし、商品に対する自信も付きましたね。

<編集後記>信念を持って前進ている人を見ていると応援したくなりますよね。「グッドデザイン賞」への応募も、偶然ではなく必然だったのでは? と感じました。3回目は「海外進出」について教えていただきます。

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【教えてくれた人】織田畳店・ブランドマネージャー織田吉美さん
おだ・よしみ
奈良県生まれ。1900年創業の「織田畳店」で、4代目で夫の織田理さんと共に畳の文化を後世に残すために奮闘。2015年、財布や小物入れなど、畳を使った雑貨ブランド「織田たたみ®︎」を立ち上げ、2016年に「グッドデザイン賞」を受賞。 

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