効果と効率を最大化する、海外進出コミュニティーの秘訣⑤ ~愛知県食品輸出研究会~


愛知県食品輸出研究会の会長を務める平松さんは、他の加盟企業に先駆けて海外進出をスタートさせました。しかし前回の記事でお伝えしたように、そこにはいくつかの越えるべきハードルが。中でも食文化の違いに苦労されたといいます。今回は平松さんがどのようにこの壁を乗り越えたのかをご紹介します。

現地のシェフを媒介することで、親しみを作り出す

台湾に進出した際、現地で知られていない、親しみがない商品であるがゆえに、おいしさを認められても実売までつながらなかった佃煮。認知率の低さや情報の少なさが問題であると気づいた平松さんは、スーパーにただ食品を置くだけではなく、シェフに商品を説明してもらい、試食してもらえる環境を整えることで佃煮をアピールする方法を考えました。すると、単に商品を置いて試食を促していた時と違い、徐々に売上が伸びていったのです。商品と顧客の間に、現地のシェフという信頼性と親和性が高いプロフェッショナルに入ってもらうことによって、商品の認知とともに安心感も提供することに成功したのです。これが食文化の違いからくる不安を払拭する手がかりになりました。

北米でも成功した「シェフコラボ」

平松さんのこの取り組みはアジア圏だけで終わりませんでした。 例えば研究会企業が複数参加した今年のニューヨークでの展示会。基本的に展示会はメーカーの担当者が現場に入り、バイヤーに商品の解説をするだけで終始しがちです。平松さんは台湾でも成功したシェフコラボのメソッドを、同じ愛知県食品輸出研究会のうなぎ業者に伝授。単に商品を説明するだけにとどまらず、日本からうなぎを持ってきて現地のシェフに渡し、アメリカでの食文化に合う料理を作ってもらったのです。これを展示会に出したことで、評判は上々。バイヤーに対しインパクトを与えられるだけでなく、うなぎ市場をアメリカで拡大させる可能性までも伝えることができたのです。 日本で親しまれている蒲焼きを出しただけでは、バイヤーの興味を引くことは難しかったかもしれません。自分達が一番おいしいと信じている食べ方が、現地の人にとっても最良であるかは分からないのです。

展示会会場でのデモンストレーション

取り組みは年々進化、そして新しい気づきに

平松さん自身は2008年のニューヨークでの展示会から、シェフコラボの試みを行っています。シェフに佃煮を渡し、自由にアレンジしてレシピをレポートしてもらうという企画を年に3,4回実現させてきました。通算で15人のシェフが佃煮を活用した料理を考案し、これを自社ウェブサイトで発信した他、展示会でもデモンストレーションを行ったそうです。 ニューヨークはアジア圏とは異なる食文化を持ち、かつ多様な人種を擁するという点で、細かいターゲット設定も含めた入念な進出戦略が必要。攻略の難易度は決して低くありません。一方で世界への情報発信地ということで、平松さんにとって重要性が高い地域でもあります。アジアで成功したメソッドをアメリカにも持ち込むことで、食文化の違いというハードルを乗り越えることに成功したのです。

この取り組みは単に、食材を現地の食文化に合わせて変化させることで購入障壁を低くするという効果を狙っているだけではありません。現地のシェフとコラボすることで、平松さんには多くの気づきがありました。日本にとどまっていては決して気づかなかった自社商品の新たな可能性とは何なのか、次回詳しくご紹介します。