「アメリカのどの家庭にも日本茶を」女性起業家の夢と挑戦②


アメリカ・オレゴン州で日本茶の輸入販売製造ビジネスを経営する小池清美さん。前回の記事では起業に至った背景と、どのように事業を始めたかをご紹介しました。今回は起業後15年の中で小池さんが経験した苦難や、いつかアメリカで実現したい目標をご紹介します。

東日本大震災の影響は遠くアメリカにも

2011年、日本の広範囲を襲った東日本大震災。地震や津波の被害状況の他、福島の原子力発電所の問題はアメリカでも大きなニュースになっていました。小池さんの会社にも、放射能汚染を懸念した問合せが多くあったと言います。「もう、日本のお茶は駄目なのではないかと思いました。でも、きちんと行動すれば乗り越えられると思ったんです」そう語る小池さんは、まず震災前に仕入れた商品で窮地を乗り越え、その後商品の仕入先を変更。放射能の影響がないという結果を示しながら、安全性を訴え続けました。そうして信頼を得ることで、売上は減るどころかかえって増えたといいます。「この時以外にも大変なことは色々とありました。でもうまくいかない時こそ、目標をもって行動していれば道がひらけていくものなんです」。そんな彼女がいつも励まされているのは、お客様からの激励や感謝。「この商品を売ってくれてありがとう、このお茶無しでは人生考えられないと言ってもらえることもあります。そのたびに本当に嬉しく、励まされるんです」

日本茶の魅力を広げていくために

今、抹茶ブームと言われるほどアメリカに浸透している日本茶。一方InstagramなどのSNSサイトでは、その鮮やかで美しい緑色ばかりが注目されがちです。しかし、先日RESOBOXで行われた抹茶ファンのためのイベントに来たのは、ビジュアルの良さだけではなく抹茶の本当の魅力を知りたいという人たちでした。抹茶をきちんと味わいたいと思ってくれている人がたくさんいるということは、嬉しい驚きだったと小池さんは語ります。またイベントの中で抹茶を使ったオリジナルメニューを紹介したように、小池さんは抹茶の新しい楽しみ方を常に研究しているのだそう。「ブームにはなっていても、まだメジャーな状態ではない。緑茶の味が好きでないアメリカ人にも、緑茶や抹茶を通して健康的な食事の大切さに気付いて欲しいんです。少しでも食べやすいメニューを作ることで、抹茶のおいしさを知るきっかけにして欲しいですね」と話します。

抹茶イベントでの様子。製造過程や歴史にも焦点をあてる

文化と楽しさを伝え、日本茶をスタンダードに

15年前に手作業から始まった「Sei Mee Tea」は、今やオンラインショップだけでなくアメリカ全土の専門店やカフェ、amazonなどインターネット通販にも販路を広げています。取扱商品は緑茶や抹茶、ほうじ茶など幅広く、選りすぐった品々は質が良いと評判です。今後は緑茶について気軽に学んでもらうビデオやイベント、ワークショップを提供する活動をさらに拡大していきたいとのこと。日本茶の伝統・文化を伝えつつ、ごく一般的なアメリカ人でも楽しくわくわくしながら日本茶を生活の中に取り入れられるように、プレゼンテーションの仕方を工夫したり新しい使い方を提案しています。「例えば、お湯の温度と抽出時間の関係。本当にいいお茶であれば同じ茶葉を使っても、全然違う味が出せるんです。まるでお茶の手品師のように」。小池さんの緑茶ビジネスの夢は、「コーヒーのように、日本茶がアメリカのどの家庭でも普通に使われるようになること」。日々新しいビジネスが生まれるアメリカでも、アジア人女性はマイノリティーな存在です。だからこそユニークな視点で価値を伝えられると、小池さんは語ります。今年コーチングの資格をとった小池さんは、アメリカでビジネスを成功させたい日本人女性を応援するビジネスコーチングも始めたそうです。3歳から小池さんの傍で日本茶の魅力とビジネスを学んできた娘さんとともに、大きな夢の実現のため今日も行動し続けています。

現在の小池さんご家族。娘さんはビジネスにも役立てたいと大学でマーケティングや心理学を学んでいる